会長挨拶

 ポストコロナにおける社会の構造変化は大きく、医療においても病院の外来延べ患者数や病床利用率の低下が全国的な問題となっています。これは、コロナ禍の3年余りの間に人々の健康管理に対す意識や行動の変化によるといわれ、コロナ前に戻るのは考えにくいとの分析もあります。
 
 第8次青森県保健医療計画がスタートしましたが、計画が示す方向性の背景には先に述べたような変化があり、医療と生活の双方を看る看護職は、入院から人生の最終段階まで、地域包括ケアシステムの要として、質の高いケアを効果的・効率的に提供していくことへの期待が一層高まっています。看護専門職としてこのような社会の要請に応えるためには、限られた資源の中で質と効率、集団と個など相反することに対する柔軟な態度と、個々の看護職のより高質な実践が求められると考えます。「自ら学び高める」という、日本看護協会の生涯学習の理念に基づいた更なる看護教育の充実への取り組みが必要と考えます。
 
 また、人々の医療・介護の複合的なニーズに応えるためには、必要なケアの統合が重要となります。組織や職能の境なく、地域の特性を活かした有機的な連携協働やICTの活用推進がさらに重要になると考えます。
 2024年度医療・介護・障害福祉サービス等報酬の同時改定は、今後の人口動態を見据えたサービス提供体制や人材確保の観点から、処遇改善を重視した改定となりました。このような機会をうまくマネジメントし看護職の働く環境を整えるための看護管理者と本会との連携も不可欠となります。これらを進展させることを通して、青森県の医療の質向上、県民の健康増進に貢献するとともに、看護職の人員確保定着につなげる事業展開をします。
 
 一人一人の看護職が看護という職業にやりがいと希望、明るい未来を感じながら更なる専門性を発揮して活躍できるために、会員の皆様とともに考え取り組んで参ります。
 

公益社団法人青森県看護協会
会長 川野 恵智子